皇位継承問題

 秋篠宮妃殿下の御懐妊で、見送りがほぼ確定しつつあるこの問題だけど、あえて今取り上げてみる。
 秋篠宮家の第三子の男女に関わらず、今後数世代のうちに皇嗣が絶えるであろうことには疑問の余地は無い。であるならば、将来に渡り安定的な皇位継承が可能となるよう、早いうちに法的整備を行う必要がある状況は変化していないと言える。勿論、冷静な議論を行う為に、秋篠宮妃殿下が御出産されるまで待つ必要性はあるだろうが。
 さて、この問題を考えるにあたって最も優先すべきなのは、皇統を継続させるということである。この「皇統の継続」と「皇位の継承」を混同している議論が非常に多い。皇統というものは、父系による繋がりという大原則に基づいて、古来より連綿と紡がれてきたものである。私個人としては、この繋がりが初代天皇と言われる神武天皇にまで真実辿り着けるかどうかは、重要視してはいない。重要なのは、少なくとも百年以上、長ければ千年以上という期間、父系という原則で紡いできた「連続性」である。いわゆる女系天皇*1と昨今呼ばれるものを認めると、この連続性は明確に失われる。何故ならば、いわゆる女系天皇という考え方での皇統は、現行の皇統とは明らかにそのルーツを異にするからである。
 いわゆる女系天皇を容認するということは、今現在皇族の立場にある方々に限り、男女の別無く皇統の継続を認めるというものである。ここで重要になるのは、この原則が採用された場合に今後紡がれる皇統は、大正天皇を基点としたものになってしまうということである。
 もう少し詳しく説明しよう。現在の皇族の方々は、今上陛下とその子・孫である東宮(皇太子)家と秋篠宮家の方々、昭和天皇の子である常陸宮殿下、大正天皇の子・孫である三笠宮家・桂宮家・高円宮家の方々である。仮定として、今後百年、この方々からいわゆる女系天皇を容認した皇統が続くとする。百年後の時点で、その時の皇族の基点は誰かと考えた場合、それは父母の別無く辿って到達する共通の祖先ということ、即ち大正天皇となる。何故なら百年後の皇族から見ると、大正天皇までは父母の別無く辿る血統、大正天皇より以前は父系でのみ辿る血統となり、大正天皇の前と後では明らかに異なる原則に基づいた血統になるからである。
 ただ単に皇位の継承のみに焦点を当てるならば、その時々の天皇の子という、近視眼的な原則で皇位を継承していくのもいいだろう。しかし、「皇統」という連続性のあるものの継続に重きを置くのであれば、いわゆる女系天皇の容認などという、皇統の原則を根本から覆すことを軽々に考えるべきではないのは明白である。
 以上のことから、私はいわゆる女系天皇の容認は、皇統の継続という観点から全く許容できないと考えている。
 とりあえず疲れたんで今日はここまで。

*1:男系・女系、父系・母系というものはあくまでそれを遡って検証できるものを指すので、昨今言われるいわゆる女系天皇は正確には女系・母系ですら無いので、ここではこう記す