無防備地区宣言
何やらあちこちの自治体で無防備地区宣言を条例化しようっちゅー運動が起こってるらしいですが。本気でこれを制定すれば戦火から免れることができると信じている人は、実におめでたいと思ってしまう訳で。
この無防備地区宣言という代物はジュネーブ条約追加第1議定書59条で定義されてるもので、紛争当事国はこれを宣言した地区に対してあらゆる攻撃を禁じられる訳ですが。同時に同条では無防備地区を「敵対する紛争当事国による占領のために開放されているもの」と定義している訳です。つまり、戦争の際敵国に「自由に占領してください」と地区単位で無条件降伏する訳ですな。
で、同条において、この宣言を出す主体というのは「紛争当事国の適当な当局」と定められている訳ですが。
- そもそも紛争が発生していない平時では、紛争当事国など存在しない
- 適当な当局とは、紛争実行の為の交戦権や軍隊の指揮権を有している国である
である以上、平時において地方自治体が条例化できるような代物では到底無いわけです。
更に言うならば、これは日本国内の特定地域に外国勢力を招きいれる行為に他ならず、即ち外患誘致罪*1や外患援助罪*2に当たるとも見ることができます。
そして、もしこれらの条件をクリアしたとしても、いざ戦争が起こった際に相手がこれを守る保障は何も無い。ジュネーブ条約ではなくハーグ陸戦条約時代の話ですが、第二次世界大戦中同様の宣言を行ったドイツのドレスデンは、連合国軍による無差別爆撃、通称「ドレスデン大空襲」*3で少なく見積もって約3万人、多く見積もると約25万人もの犠牲者(東京大空襲は約10万人、広島の原爆投下は約十数万人)を出しました。
万が一無血占領が行われたとしても、今度は占領した当事国が同様の宣言を出さなければ、当然反撃が実施された場合は戦場となる訳でして。その場凌ぎにもなりゃしない。
まー、平和への理想を持つのはいいことですが。現実も見ないと笑われますよ、みたいな感じで。
ちなみに、運動を行っている市民団体には中核派や朝鮮総連といった反政府勢力、外国勢力の関与があるらしいですね。