総選挙が終わってもまだまだ熱い政局。


 とりあえず選挙後のスタートダッシュを見る限り、自民党は本当に改革政党になろうとする姿勢は見て取れるようだ。
 まず今回総選挙で当選した新人議員の派閥出入り禁止令。候補の擁立自体がこれまでの派閥主導と異なって執行部や官邸の公募や一本釣りだったこともあって、現在自民党内では最大派閥が無派閥という空前の事態になっている。こうした議員達を無派閥、言い換えれば党人派として育成していくため、自民党は本腰を入れて派閥からの隔離と執行部主導での情報交換会、勉強会を設置していくようだ。
 既に自民党内の派閥はかなり弱体化している。最大派閥であった旧橋本派は会長不在、有力議員が落選や党外追放の憂き目に遭ってその座を森派に譲った。旧堀内派も堀内氏が党外に追われ、有力者であった古賀氏の影響力も地に堕ちた。旧亀井派は更に派閥解体の危機に見舞われている。旧小里派は加藤氏の下で再建の只中、森・山崎両派は小泉首相の膝元で、その他の派閥は弱小グループである。小選挙区制になったことで選挙区で身内争いすることは無くなり、金の流れが執行部に集約されたことで餅代、氷代の資金力も低下した。ポスト獲得能力も小泉首相の一本釣り方針でほぼ失われた。そしてついに、新人議員の争奪戦まで規制されている有様である。
 更に派閥の最大の見せ場である総裁擁立能力も、既に主要派閥の多くが総裁候補となる会長が不在という状況に追い込まれている上で、小泉首相が後継候補を閣僚など要職に就けて政治の表舞台に立たせて公開マッチレースをさせる方針を示したことによって壊滅的打撃を受けるだろう。


 一方の民主党は、今回の敗因が分かっているのかという体たらくである。
 あまりメディアでは取り上げられないことだが、民主党内にも厳然とした派閥が存在する。旧自民党系の鳩山派、旧社会党系の横路派、旧自由党系の小沢派、旧社民連・公明系の菅派、旧民社系の川端(?)派、そして若手中心の旧新党・民主生え抜き系の前原・野田派である。これらの派閥は目下、鳩山、菅、小沢ら各氏を中心に代表及び執行部人事の駆け引きを行っている。登場人物を青木、野中、森、江藤、堀内各氏などかつての自民有力者に置き換えてみればそのイメージはまさに旧来の自民党お得意の密室談合さながらといった状態なのはよく分かるだろう。
 若手が前原氏に一本化してこの流れに対抗しようとしているのはせめてもの救いだが、執行部人事の割り振りなどで話し合い選出に落ち着く可能性も高い。自民党が大きく脱皮を果たそうとしている中、こうした寄り合い所帯の派閥力学に基づいた党運営を思い切って改革できないようであれば、民主党はいよいよ窮地に追い込まれるのではないだろうか。


 健全な政治のためには野党にもしっかりしてもらわなければならない。改めて、民主党の再生を願わずにはいられない。