コードギアス世界観雑感

 個人的に今期のアニメで一番期待してるコードギアスですが。世界観について興味津々です。


 まず神聖ブリタニア帝国について。反米アニメだの何だのという声もあるようだけど、どうも見た感じ、アメリカというよりはイギリスとの関連性の方が強い気がする。
 国旗のデザインを見ると、下地は青に赤十字が描かれ、赤十字の横線の外には、白・金の順で縁取りがされている。これは、イギリス国旗であるユニオン・フラッグから、斜め線を取り払ったものに似ている。ユニオン・フラッグはイギリスを構成するイングランドスコットランド北アイルランドそれぞれの国旗を融合させたデザインだけれど、ブリタニア国旗の下地は、これのうちイングランドの要素が強まっている感じになっている。そして、この下地の上に、獅子と蛇と王冠らしきデザインがあしらわれているけど。イギリスの国章である、王室の紋章は、獅子とユニコーンと王冠から成るデザイン。この辺りも大分近似性がある。
 君主の系譜を辿ってみると、3話の授業中に、以下のようなセリフがある。

偉大なるエリザベス一世のお子である、ヘンリー九世の即位によって、テューダー朝は隆盛を極め……

 エリザベス一世に対して「偉大なる」と言っている辺り、ブリタニア皇室がイギリス王室の流れを汲んでいることが伺える。
 もう一つ注目されるのは、実際の史実でエリザベス一世は、処女王という異名が示すとおり、生涯独身であり、嫡子は存在しない*1ということだ。このため、エリザベス一世の後は、スコットランド王ジェームス六世が、ジェームス一世として即位している。更に、彼の即位でテューダー朝ステュアート朝へと交代し、またイングランド王国スコットランド王国と同君連合を組むことになる。これはいわば現在の連合王国成立の原点となる出来事だ。これが無かったとすると、ブリタニアはイギリスというより、イングランド王国の直系と見做した方が適切なのかもしれない。
 最後に、領土面。ブリタニアの日本侵攻を説明するシーンで描かれる、北太平洋周辺の地図では、北米・中米全土のほか、キューバ、コロンビア、エクアドル、ペルー辺りもブリタニアの版図になっている*2。また、ブリタニア本土の色とは異なっていたが、かつてアメリカの植民地だったフィリピンからも、ブリタニアが侵攻しているのが伺える。ブリタニアイングランド王国の流れを汲む国であるとするならば、恐らくコードギアスの世界では、アメリカ合衆国が成立していなかったことも考えられる。
 これらのことから、ブリタニアイングランド王国が単独で大英帝国を経て、その広大な植民地を維持したまま現在に至っていたら、という歴史のIfを踏まえた国ではないかという推測ができる。
 


 次に日本について。
 前述したブリタニアによる侵攻時の地図では、北方領土に加えて、少なくとも得撫島と新知島が、日本の領土として色分けされている。一方、捨子古丹島以北は日本ではないようだ。歴史上、千島列島における日露(または日ソ)の国境線が、中部千島に存在したことは無かったはずである。千島は日露和親条約択捉島までが、樺太・千島交換条約占守島までの千島全土が日本の国土になっており、第二次世界大戦の敗北で、北方領土までが旧ソ連・ロシアの統治下になっている。
 また、劇中に日本のレジスタンスとして登場する、正規兵の残党と思しき男達の服装は、緑の詰襟になっている。自衛隊の服装は、戦闘服以外は基本的にブレザーである*3。これは、自衛隊というより旧軍に近い性質を伺わせる。
 更に、スザクの実家である枢木家が、名家とされており、「本家」が影響力を持っているようなセリフが入っている。また、どうもルルーシュが外交の道具として、枢木家に預けられていたような描写もある。これらのことから、敗戦時に廃止された、華族制度が残っている可能性も考えられる。
 ブリタニアに関する部分でも書いたが、もしかするとコードギアスの世界では、日本もまた、実際の歴史と異なって、第二次大戦での日本の敗戦が、無かったのかもしれない。更に想像を飛躍させるならば、ブリタニアの部分で述べた、ジェームス一世がイングランド王に即位した1603年は、そのまま徳川家康征夷大将軍となって、江戸幕府を開いた年と一致する。日本もまた、この辺りから実際の歴史と異なった歩みをしているとすると、面白いかもしれない。例えば、関ヶ原の戦いで西軍が勝利して、豊臣幕府ができていた、とか。あるいは、幕末に公武合体が成立していて、幕府崩壊が起こらなかった、とか。まあ、豊臣幕府に関しては、ブリタニアの日本統治拠点がどうやら東京のようだから、無いのだろうけれど。


 ああ、コードギアスの世界設定がどうなってるのか、すごい気になるなあ。

*1:もっとも愛人はいたようであるが

*2:これ以外の南米・カリブ諸国は画面に入っていなかったため不明

*3:海上自衛隊には詰襟も残っている