対広島8回戦

 阪神14−4広島 in米子
 先発福原は6回3失点で4勝目。回は浅かったけれど降板は代打起用のためだったし、見た感じまだ投げる余力はあったから及第点だと思う。ただ、不用意に本塁打を打たれ過ぎたのがどうにも。ストレートが走って変化球もいい感じに決まっていただけに残念だった。
 今日の問題点は打線。初回無死二塁のチャンスをむざむざ潰し、広島守備陣の好守にも阻まれ、2回と4回は共に二死一二塁で福原に回ってくるという巡りの悪さもあって、先発ベイルから結局6回で1点にとどまった。これが結果的に追い上げのために福原を降板させ、藤川・ジェフを投入せざるを得ない展開にしてしまったといえる。7回の代打片岡の四球出塁からシーツの3ランでの勝ち越しと、9回の金本の3ランでの突き放しでは非常に効率的な攻撃を見せただけに、何とも歯がゆい思いだ。
 それにしても、打撃陣はわざと久保田にセーブを付けないようにしているのだろうか。首位を走っているのにセーブランキング4位(9S)って何ですか。
 収穫としては、桧山が4打席2安打1四球、藤本が4打席3安打と復調気配が濃厚になってきたことか。首脳陣は相手先発の左右で安易にスタメンを変えずに、暫くこの二人を固定して様子を見てもらいたい。


以下補足
 先日先発降板の早さと終盤ばかりに得点が集中していることを嘆いたが、久保田のセーブ数というか、今季の阪神の試合を見ていてふと思った。
 データでセーブを見ると久保田は9、他は橋本が3イニング投げて付いた1だけと、セーブが付いた試合、つまり終了時点で僅差だった試合が非常に少ない。一方でホールドを見ると藤川が25、ジェフが15、橋本が7と他球団と比較して非常に多い。また同時に、先発投手も早期に降板してはいるが、比較的試合は僅差でまとめていることが多い。更に、防御率で見るとセットアッパーのジェフとクローザーの久保田が2点台なのに対し、その前で登板する橋本・江草・藤川は1点台となっている。
 これはつまり、阪神が中盤までは僅差でまとめ、中盤以降橋本・江草・藤川の防御率1点台トリオで相手打線を捻じ伏せて反撃意欲を挫き、代打攻勢によって疲れの見えた先発あるいは抑えの前の投手を打ち込むことで終盤一気に逆転、あるいは突き放してセーフティーリードを築き上げるという形を勝利パターンとして確立しつつあるとも言えるのではないだろうか。
 通常あるようにクローザーに救援投手で最もいい投手を持ってくる戦術では、そこまで繋ぐことで失敗したり、万一クローザーで同点にされたりした場合に打つ手が無くなって来る。一方で現在の阪神スタイルは1点台トリオによって相手の得点を防いでいる間にセーフティーリードさえ築けてしまえば多少セットアッパーやクローザーが乱調でも逃げ切ることができ、また万一追いつかれたとしても1点台コンビのうち誰かは残っていることが多いので久保田をもう1イニング行かせて1点台の救援に繋いで反撃を待つという形も取れる。考え方によっては超攻撃的な救援陣の起用方法と言えるのではないだろうか。
 そう考えてみると、比較的長いイニングを投げて負けている福原などでは逆にこのパターンにはめることができなかったが故の敗戦とも考えられる。事実、今日の試合は6回3失点でまとめてこの勝利パターンに繋いで次の回に逆転、勝利投手の権利を手にしている。下柳の負けが少ないこともこれで説明がつく。
 もっとも、このスタイルが成功するかどうかは夏場中継ぎ陣が疲弊するかどうか次第であり、その辺りは投手コーチら首脳陣のデリケートな起用判断に依存することになってくる。
 果たしてこのスタイルが成功かどうか、それはシーズン終了後に分かるだろう。……来年中継ぎ陣が終了してそうな気もするけど。