交流戦を21勝13敗2分で乗り切り、リーグ戦再開後最初の6連戦となる中日巨人の2カードを2勝1敗ずつで勝ち越し。現在40勝29敗3分で2位に4ゲーム差の首位。とりあえずここまでの総括っぽくやってみる。
 セのチームとはまだ2カード強しか当たってないので何とも言えないものの、中日とヤクルトに現在負け越している。現時点で阪神以外のAクラスがこの2チームなので、今後確実に叩いて勝ち越していかないと優勝なんて夢のまた夢になる。そういう意味でこの間の中日3連戦で、野口・川上・山本昌相手に勝ち越せたのは大きい。
 交流戦では8つ貯金を積み上げて首位に立てたので満足と言いたいところだが、贅沢を言わせてもらえれば甲子園でのソフトバンク・ロッテ6連戦は最低でも3勝3敗、できれば両者に勝ち越して欲しかった。そうすれば交流戦首位もありえただけに残念。


 さて、現在の阪神の戦力分析だが、上位打線からクリーンナップへの流れが非常によく、得点効率が高いのと、防御率2割前半で推移している中継ぎ陣のおかげで戦力的にはいい状態と言える。ただし、投手陣では先発が5回前後で降板してしまう事による中継ぎへの負担と、打撃陣では6番8番が大穴になっていることによる下位打線の繋がりの悪さが懸念要因となっている。
 まず先発だが、エース井川がどうも浮き沈みが激しくなかなか完投してくれないという問題もあるが、同時に伊良部・藪と2年間で抜けた二人のベテラン右腕の穴が埋め切れていないことも大きい。
 去年一年間ローテーションを守ったとはいえ、負け越している福原が右のエースとなり、先発転向の安藤は不安定、一番安定しているのが3年目の杉山という事実がこの問題を如実に語っていると言える。ファームには太陽、金澤、ブラウンがいるが、故障の影響や不振で一軍ローテを期待できるほどの状況ではない。福原はフォームの調整をきちんと行って投球リズムを良くして打線の援護を受けられるようになり、杉山が立ち上がりの不安定さを払拭してコンスタントに7回投げられるようにし、安藤も勝ち負けが五分に近い状況に持っていけないと先発投壊という事態になりかねない。
 左腕陣では下柳が好投しているものの、井川はまだ完全復調とは言えず、更に先発ローテーションが期待されたルーキー能見が今ひとつピリっとしないために3人目の枠が宙に浮いた状態になっている。井川か福原のどちらかでも復調すれば中5日で回したりしてカバーすることも可能だが、現状ではそれは期待できない。そして私が個人的に期待している三東も手術のため今季絶望、ファームの筒井和、前川らでは谷間を埋めること以上に期待できる状況ではない。
 打撃陣に目を向けると、金本・今岡の4・5番コンビが打点ランキング2位と1位で中軸の役割を果たし、チーム全体の得失点差も大きく開いている。しかし、ゲームごとの流れを見てみると、比較的中盤までは僅差のゲームが多く、点差が開くのはゲーム終盤になってからという傾向が見られる。藤川の登板数が群を抜いて多いのも、こうした競った試合展開のため6、7回は僅差であることが多く、相手チームを抑え込んで終盤の得点への流れに持っていくために投入されるパターンが確立されてしまっていることが大きな原因と言える。
 中盤までが競った展開になってしまっているのは桧山(.211)・スペンサー(.229)が大穴となっている6番、同じく藤本(.238)・関本(.234)が低迷している8番で打線が途切れるため、金本今岡で得点を挙げた後に一気に畳み掛けることができないことに原因があると思う。終盤になると代打攻勢でこの途切れが緩和されるのだが、スタメン打者として最低でも.270以上は打ってもらわないことには話にならない。
 6番に関しては濱中の復活を期待する向きもあるが、度重なる故障から焦りは禁物である以上、現状の2者で凌ぐ他はない。正直併用が互いの不振を助長させているようにも感じるので、守備に不安のあるスペンサーではなく桧山をスタメンで固定して調子が上向くことを期待するべきだと思う。もしくは、中村豊をスタメン抜擢という手も無くはない。8番は暫く様子見をすべきだが、いよいよ難しくなってきた場合はシーツを再コンバートするなどして一塁で片岡や町田、あるいは濱中を起用することも視野に入れる必要があるだろう。7番を打っている矢野に関しても、疲労が溜まるとリード・打撃両面で冴えなくなってくるので野口や浅井を必要に応じて起用する必要がある。
 こうした問題点が改善されない以上、現在橋本33試合、江草29試合、藤川40試合、ジェフ34試合、久保田31試合という登板過多の状態になっている中継ぎ陣の負担は夏以降より重くなる一方であり、阪神にとって厳しい状況は避けられない。ジェフ以外の4投手はイニングを跨いで投げることも多く、登板試合数以上に負担は大きい。先日の杉山先発試合で準先発扱いでそれまで温存していた橋本に3イニング投げさせて中継ぎを休ませたりと首脳陣も試行錯誤してはいるようだが、先発が7回以上投げきるか、点差が開いて桟原などの勝ちパターン以外の投手で乗り切れるようにならない限り、焼け石に水の感が否めない。ビハインドゲームでは貴重な金澤の復帰も待たれるが、もう1枚、僅差ビハインドで投入できる中継ぎが出て来れば多少楽になるのであるが。


 ともかく、2位と4ゲーム開いているとはいえ阪神のチーム状態は決して万全とは言えない。今後も首脳陣にとっては選手起用が難しい状況は続くだろう。